お盆も近づいてくるとお墓にお参りをしたり、仏壇に向かったりする機会が増えますよね。
そんな時に耳にするのがお経。
お坊さんがお経を読む際に経典を渡してくれ、読経に合わせて一緒に読んだり目で追ったりしますよね。
多くの宗派で読まれる「般若心経」は漢字で書かれています。
大半はわかりませんが、その中には意味を推測することができる部分もあります。
「不増不減」
増えたり減ったりすることはないのかな…?
こういった意味の推測が可能なのは、お経が漢字で書かれているからです。
どの宗派でも漢字で書かれている部分はその1文字1文字に意味が込められているのは見て取れます。
しかし、お経の中には
ひらがな
で書かれている部分はありませんか?
おんかかかびさんまえそわか
おんさんまやさとばん
そもそもどう区切って読めばいいの…?
これらは仏教における「十三仏」と言われる十三の仏様にまつわる言葉です。
今回はこの十三仏にまつわる呪文のような「真言」について解説したいと思います。
お経の謎の呪文…?十三仏と真言とは?
十三仏はその名の通り13の仏さまを指します。
では「真言」とはどんなものなのでしょうか?
十三真言とは、亡者を浄土に導く十三の仏様(如来・菩薩・明王)のマントラ(मन्त्र Mantra)、真実の言葉、秘密の言葉のことです。
それぞれの仏さまを表す言葉という感じでしょうか?
マントラとはその神聖な言葉です。
お経だけでなく、瞑想など様々なもので大切にされている言葉で用いられています。
ではそれぞれの仏様とその真言を見ていきましょう。
十三仏 | 真言 |
---|---|
不動明王 | のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ そわたや うんたらた かんまん |
釈迦如来 | のうまく さんまんだ ぼだなん ばく |
文殊菩薩 | おん あらはしゃ のう |
普賢菩薩 | おん さんまや さとばん |
地蔵菩薩 | おん かかかび さんまえい そわか |
弥勒菩薩 | おん まいたれいや そわか |
薬師如来 | おん ころころ せんだり まとうぎ そわか |
観音菩薩 | おん あろりきゃ そわか |
勢至菩薩 | おん さんざんさく そわか |
阿弥陀如来 | おん あみりた ていせい から うん |
阿閦如来 | おん あきしゅびや うん |
大日如来 | おん あびらうんけん ばざら だとばん |
虚空蔵菩薩 | のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おん ありきゃ まりぼり そわか |
【謎の呪文】十三仏の真言…。なぜ平仮名なのか?
ではこの十三仏の真言はなぜ他のお経と違いひらがなで表記されるのでしょうか?
これは真言のもともとの表記が
梵字
であったためです。
梵字とは
このような文字で、インドで生まれた仏教に使用される文字のようです。
この梵字の音を文字化したため、漢字ではなく平仮名表記なんですね。
文節やそもそも耳慣れない言葉の繋がり方なのはそもそもが多言語であるためです。
そのため、言葉の流れに違和感があっても仕方がないですね。
【謎の呪文】十三仏の真言…。それぞれの真言の意味は?
では、ここからは十三仏の真言のそれぞれの意味を見ていきたいと思います。
不動明王
怒っている顔で有名な不動明王は煩悩を抱えた人々を半ば強制的にも救済してくれる仏様とのことです。
そんな不動明王の真言は
のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ そわたや うんたらた かんまん
これをパーツに分けてみてみると、
のうまく | 帰依する・願う |
さんまんだ | あまねく・すべての |
ばざらだん | 金剛界 |
せんだ | 暴悪なる |
まかろしゃだ | 大忿怒尊 |
そわたや | 粉砕してください |
うんたらた | 忿怒したまえ |
かんまん | 不動明王を指す |
という意味を持っています。
やはり言語であるため、それぞれの単語に分かれて意味を持つんですね。
釈迦如来
釈迦如来は人々を救済し、すべきことを成就し、煩悩を消し去ってくれる仏様で、釈迦如来は仏教の生みの親であるブッダの如来化した際の姿ということです。
そんな釈迦如来の真言は
のうまく さんまんだ ぼだなん ばく
「のうまく さんまんだ」は先ほどの不動明王と同様ですね。
のうまく | 帰依する・願う |
さんまんだ | あまねく・すべての |
ぼだなん | 諸仏 |
ばく | 釈迦如来を指す |
文殊菩薩
文殊菩薩は知恵を司る仏様で「三人寄れば文殊の知恵」でも知恵に関わるのが感じられますね。
おん あらはしゃ のう
という短い真言。
おん | 帰依する・願う |
あらはしゃ のう | 真言智を得て、幸せの道を行く |
「あらはしゃ」「のう」と分かれているはずなのですが、まとめて”知恵を授ける”知恵を得る”救済される”といった意味が合わるのは分かったのですが、単語レベルでは調べても出てきませんでした。
「おん」は「のうまく」と同様「帰依する」という意味とのことで、この後にも多く出てきますね。
普賢菩薩
普賢菩薩はあらゆる所で人々を救済してくれる仏様。
慈悲の仏様としても有名です。
おん | 帰依する・願う |
さんまや | 約束・契約 |
さどばん | あなたは仏と同じです |
人々と根本的には同じ存在であると認めてくれる仏様というのは何とも心が広いように感じますね。
地蔵菩薩
お地蔵様とも呼ばれる地蔵菩薩は大地のようなその慈悲で煩悩から人々を救ってくれます。
道端にも祀られていることも多く、身近な仏様とも言えますね。
おん | 帰依する・願う |
かかかび | 笑い声 |
さんまえい | 稀有なほど素晴らしい |
そわか | 幸あれ・成就しますように |
この記事を調べてみようと思ったきっかけは地蔵菩薩の「かかか」でした。
笑い声も真言として残っていたりするんですね。
弥勒菩薩
弥勒菩薩はお釈迦様の死後56億7千年後に現世に現れ、人々を救済するという未来に関する仏様です。
おん | 帰依する・願う |
まいたれいや | 弥勒菩薩を指す |
そわか | 幸あれ・成就しますように |
真言は非常にシンプルで、弥勒菩薩の梵名である「まいたれいや(マイトレーヤ)」に帰依するとい意味です。
帰依とは頼りにする、願うという意味ですので、弥勒菩薩に呼び掛けている感じですね。
薬師如来
病を治癒してくれる仏様である薬師如来は〇〇薬師、といった形で健康にまつわる寺社が呼ばれることもありますね。
おん | 帰依する・願う |
ころころ | 薬師如来の様子 |
せんだり | 私たち |
まとうぎ | 私たち |
そわか | 幸あれ・成就しますように |
少し補足が必要ですが、「ころころ」は薬師如来が患部を手でさすってくれる様子や、ころころと笑う様子を指すとのことです。
また「せんだり」や「まとうぎ」は古代に下級層の人々を指すと出てきました。
そういうわけで「せんだりやまとうぎといった階級である私たちを救ってください」といった意味になるのではないでしょうか。
観音菩薩
観音様で知られる観音菩薩。
人々の声という音を「観る」ことで、救済をしてくれる仏様です。
おん | 帰依する・願う |
あろりきゃ | ? |
そわか | 幸あれ・成就しますように |
「あろりきゃ」が調べても出てきませんでした。
全体で意味を調べてみると「観音菩薩様、あなたに願います」的ないみのようなので、観音菩薩を指す言葉なのでしょうか?
観音菩薩はサンスクリット語ではアヴァローキテーシュヴァラ(Avalokiteśvara)とのことなので、似てないこともないですね。
勢至菩薩
勢至菩薩は現世の人々を救済する仏様のようです。
おん | 帰依する・願う |
さんざんさく | 罪を洗い流す? |
そわか | 幸あれ・成就しますように |
「さんざんさく」は先ほどの「あろりきゃ」とは違い、勢至菩薩を指す言葉ではなさそうです。
というのも、勢至菩薩はマハースターマプラープタとのことなのでかなり違う発音です。
全体の意味を調べると、罪を洗い流す、罪から救済するといったものが含まれているので、そういった過ちからの救済を意味しているのではないでしょうか。
阿弥陀如来
極楽浄土にいて人々を救済する仏様である阿弥陀如来。
苦しみの多い現世からの生まれ変わりを願う人々に親しまれています。
おん | 帰依する・願う |
あみりた | 不老不死を指す |
ていせい | 威光あるもの |
から | もたらす |
うん | 幸あれ・成就しますように |
現世からの解放を願う仏様ですが、不死に関すると思われる語句が含まれています。
調べてみるとこの部分は阿弥陀如来を指しているとも出てきました。
阿閦如来
阿閦如来は迷いから解放され強い意志を授けてくれる仏様です。
おん | 帰依する・願う |
あきしゅびや | 阿閦如来? |
うん | 幸あれ・成就しますように |
阿閦如来はサンスクリット語でアクショーブヤと発音されます。
あきしゅびやと似たものですので、他の仏様の構成と同じ感じがしますね。
大日如来
「大日」は大いなる太陽、大日如来は宇宙を司る仏様です。
おん | 帰依する・願う |
あびらうんけん | 地水火風空 |
ばざら | 金剛界 |
だとばん | 大日如来 |
「あびらうんけん」は宇宙の構成要素である地水火風空を指します。
金剛界とはすべての煩悩を打ち破る強固な力を持つ側面のことを指し、その力を持っているのが大日如来だそうです。
虚空蔵菩薩
虚空蔵菩薩は記憶を司る仏様で、福徳・知恵をを授けてくれるそうです。
のうぼう | 帰依する・願う |
あきゃしゃ | 虚空蔵菩薩 |
きゃらばや | 虚空蔵菩薩 |
おん | 帰依する・願う |
ありきゃ | 福徳や知恵? |
まりぼり | 福徳や知恵? |
そわか | 幸あれ・成就しますように |
意味合いとしては、「虚空蔵菩薩よ、福徳や知恵を授けたまえ」といった内容であるようなので、「ありきゃまりぼり」は調べてもうまく出てきませんでしたが、虚空蔵菩薩が授けてくれる知恵や福徳に関するではないかと考えられます。
お経の謎の呪文…?十三仏真言を唱えてみよう!
十三仏の真言解説は以上です。
私は仏教に詳しくないので、調べたものをまとめた形になりますので、誤っている部分もあると思います。
しかし、それぞれの仏様が施してくれるものがどういったものかをりかいしながら、仏様に呼び掛けてみましょう。
そうすると、なんだか仏様がそばで見てくれている感じがしますね。
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